この記事は、防災ナビ編集部が国・自治体の公的情報を確認して整理した一般向けガイドです。資格者による個別監修や、特定の住まいの安全判定を示すものではありません。災害時は、自治体の避難情報、気象庁の最新情報、現地の状況を優先してください。(公的資料の確認日:2026年8月29日)
ハザードマップで最初に確認するのは「自宅にどの災害が届くか」です
防災用品を買い足す前に、自宅、職場、学校、通勤・通学経路の災害リスクを確認します。同じ市区町村でも、川との高低差、崖との距離、海抜、地形によって、洪水、内水、土砂災害、高潮、津波などの影響は変わります。必要な備えと避難先を決める出発点は、一般的な持ち物一覧ではなく、自分がいる場所の危険を知ることです。
国土交通省・国土地理院のハザードマップポータルサイトでは、住所や現在地から災害リスクを調べられます。「重ねるハザードマップ」で複数の災害情報を確認し、「わがまちハザードマップ」で市区町村が公開する地図へ進みます。凡例、作成時点、想定条件は地図ごとに違うため、色だけを見て判断せず説明文も読みます。
地図上で色が付いていない場所も、危険がないと保証された場所ではありません。周囲より低い土地、崖や沢の近く、アンダーパス、古い水路、強風時に通りにくい道などは、自治体の防災ページや現地確認も組み合わせます。
住所を入れたら5項目を順番に読み取ります
- 災害の種類:洪水、内水、土砂災害、高潮、津波など、地域に関係するレイヤーを一つずつ確認します。
- 想定の強さ:浸水深、浸水継続時間、土砂災害警戒区域など、凡例と注記を照合します。表示がない項目は市区町村へ確認します。
- 自宅の条件:建物の階数、構造、居室の高さ、家屋倒壊等氾濫想定区域かどうかを確認します。集合住宅でも停電、断水、エレベーター停止は別に備えます。
- 避難先:指定緊急避難場所は災害の種類ごとに指定が異なります。学校や公民館なら常に安全とは限らないため、対象災害を確認します。安全な親戚・知人宅も候補にします。
- 移動経路:川沿い、崖下、地下道、狭い道、橋を避けた主経路と予備経路を決めます。昼だけでなく、夜間や雨天に徒歩で通れるかも確認します。
確認結果は、次のように「危険」「条件」「行動」を一組で記録します。たとえば「洪水の浸水想定がある」だけでは行動が決まりません。「想定浸水深はどの範囲か」「居室は何階か」「浸水が続く時間はどの程度か」「家屋倒壊等氾濫想定区域に入るか」「安全な避難先へいつ移動できるか」まで確認して、立退き避難と屋内安全確保の候補を整理します。
| 見る場所 | 地図で確認すること | 家族で決めること |
|---|---|---|
| 自宅 | 災害種別、区域、深さ・高さ、継続時間、建物条件 | 外へ避難する条件、自宅にとどまれる条件 |
| 避難先 | 対象災害に対応した指定、開設情報、標高・経路 | 第1・第2候補、親戚・知人宅の可否 |
| 経路 | 川、崖、地下道、橋、狭路、夜間の危険 | 主経路と予備経路、徒歩での所要時間 |
| 家族の居場所 | 学校・職場周辺の別のリスク | 各自が現地から動くか、その場に待機するか |
自治体の地図には、指定緊急避難場所と指定避難所の役割が分けて示されることがあります。緊急時に危険から逃れる場所と、災害後に一定期間生活する場所を混同しないよう、名称だけでなく対象災害と開設条件を読みます。また、土地勘のある大人だけが理解している状態では不十分です。子どもや高齢者にも分かる言葉で、地図上の印と行動を一緒に確認します。
紙の地図または印刷した画面に、自宅、避難先、危険箇所、給水拠点、家族の集合場所を書き込みます。スマートフォンの電池や通信が使えない状況に備え、家族全員が同じ情報を見られる状態にしておくと確認漏れを減らせます。
「避難所へ行く」だけでなく、立退き避難と屋内安全確保を分けて考えます
避難とは、危険な場所から難を避ける行動です。自宅外へ移動する立退き避難だけでなく、条件を満たす場合の屋内安全確保もあります。ただし「上の階があるから大丈夫」と一つの条件だけで決めてはいけません。
内閣府の避難情報に関するガイドラインと避難行動判定フローでは、地域のリスク、住宅の条件、浸水深、浸水継続時間、備蓄、避難に時間がかかる人の有無などを踏まえて行動を決める考え方を示しています。自宅にとどまれる条件が確認できない場合や、土砂災害、家屋倒壊、津波などの危険がある場合は、早めの立退き避難を検討します。
雨が強くなってから屋外へ出ると、移動自体が危険になることがあります。気象庁は、自治体のハザードマップで区域を確認し、雨が降り出した後は防災気象情報を避難判断に活用するよう案内しています。土砂災害では、危険が切迫した段階を待ってから避難を始めるのではなく、その前に避難を完了する考え方が重要です。詳しくは気象庁「土砂災害に関する防災気象情報の活用」を確認してください。
家族の行動表を作り、在宅避難と持出避難の準備へつなげます
地図を見た後は、「いつ」「誰が」「どこへ」「何を持って」移動するかを家族ごとに決めます。高齢者、乳幼児、障害のある人、妊娠中の人、持病がある人、ペットがいる家庭では、移動に必要な時間と支援者を先に確認します。
- 家族が一緒にいる時と、離れている時の集合場所
- 自宅が使えない場合の第1・第2避難先
- 電話がつながらない場合の連絡方法と遠方の連絡先
- 避難開始のきっかけにする自治体情報と、支援が必要な人の担当
- ブレーカー、火元、戸締まりを確認できる場合の役割。ただし危険なら戻らない
家族会議では、全員が同じ場所へ集合する前提にしないことも大切です。災害の種類や発生時刻によっては、学校や職場の安全な場所にとどまる方がよい場合があります。「連絡が取れない時は各施設の指示に従う」「危険区域を横切って迎えに行かない」など、無理な移動を防ぐルールも紙に書きます。
避難に時間がかかる家族がいる場合は、支援者の連絡先、車いすや歩行補助具を使える経路、薬や医療機器の持ち出し担当を具体化します。停電でエレベーターが止まる想定、夜間に眼鏡が手元にない想定、ペットが隠れてすぐ移動できない想定など、普段起こり得るつまずきを一つずつ潰します。
自宅で安全を確保できる条件を確認したら、次に在宅避難の備蓄チェックリストで生活を続けられる日数を計算します。立退き避難が必要な時に備えて、非常用持ち出し袋の中身も分けて準備します。
個別条件は、ペットと一緒に避難場所を確認する方法と、災害時の家族との連絡方法で補足できます。
半年ごとと転居・家族構成の変化時に見直します
ハザードマップ、避難先、通行止めになりやすい経路、家族の連絡先は変わります。春と秋など半年ごとに確認日を決め、転居、進学、就職、介護開始、ペットの追加、建物の改修後にも更新します。自治体の地図とポータルで情報が異なる場合は、作成主体と更新日を確認し、最終的には自治体へ問い合わせます。
「地図に色がないから備えなくてよい?」いいえ。着色されていない場所でも災害が起こる可能性があります。地図の想定条件を超える雨、局地的な浸水、地震、火災、停電なども考え、自治体の情報と現地の地形を確認します。
「指定避難所へ先に行けばよい?」避難先は災害の種類と開設状況で変わります。危険な区域を横切って遠い避難所へ向かうより、安全な親戚・知人宅や対象災害に対応した指定緊急避難場所が適切な場合もあります。平時に複数候補を決め、災害時は自治体の最新案内を確認します。
「一度印刷すれば十分?」道路工事、施設の指定変更、河川や地図データの更新、家族の生活時間の変化があります。紙の地図には確認日を書き、オンライン版と定期的に照合します。
今日行う最小の一歩:住所を検索し、関係する災害を一つずつ表示し、自宅と第1避難先に印を付けてください。その結果を基に、備蓄と持ち出し袋を分けて見直します。